洗濯物を見て暮らすのはイヤなので


S様

京都市伏見区  ★2005年11月完成

はじめに

家を建てるということも、人間の住まいを表現するということにおいて、一種の芸術かもしれない。
 我が家が完成したのは、今から五年前。本当であれば、今年くらいにボチボチ建て替える予定であったが、事情があって、住暮楽で家を建ててもらうのが五年ほど早まったのである。当初はリフォームの希望もあったが、以前の家は増築に増築を重ねていたので、屋根も部屋の間取りも複雑に入り組み、排水枡も不必要に多かった。それに、白アリの問題もあった。
 新築するのに住暮楽を選んだのは、信頼という点に尽きる。「自然呼吸の家」とか「すっぴんの家」とか「セルロースファイバーの断熱」の説明は社長からたっぷりとして頂いたものの、しっかりとした認識があったわけではない。一方で、オープンハウスの見学会には何度か参加していた。

プラン時の希望

プランニングの際、家内が設計の高田さんに最初にお願いしたことは「洗濯ものを見て過ごしたくない」ということだった。また急に雨が降っても取り込む必要を無くしてほしいこと、同時に庇が長い家が好みであることも伝え、そのような家になるようお願いした。
 たったこれだけのことだったが、高田さんは、一階のリビングの上に吹抜けを広く取り、家の南側の真ん中にテラスを持ってくるというプランを提案してくれた。
 リビング南側の大きな窓からテラス越しに庭が眺められるという魅力的なプランだったが、せっかく広い吹抜けをとっているのに、二階部分には南側の窓を付けないという説明に最初は戸惑った。明るいことは確かに良いが、明るすぎるのは落ち着かないという、高田さんのしっかりとした設計コンセプトを信頼して、お任せした。 
その後、家の設計の為に何回か話を重ね、間取り、家の外形が形になっていった。屋根は切り妻で、帽子のつばを前に付けたような、いたってシンプルな屋根である。

住み始めて実感

住んでみると、一階はリビングの窓から南側の庭を眺めると大きな二枚のガラスサッシがまるで額縁のようである。また、件の二階部分は、壁にしたことで、夏の暑い日差しが室内に入らず、光の量も安定し、リビングを落ち着いた空間にしてくれるので快適である。それに加えて、東側に取られた二か所の窓から朝日が台所へ差し込むことも模型の段階で聞いていたが、これも非常に心地よい。
 二階のベランダには吹抜けのキャットウォークを通るようになっていて、一階からは洗濯ものが見えない。季節毎に家の中に変化があり、満月を楽しむ風流さえある。

心地いい住まい

私の家の玄関は、表の通りから少し奥まっている。道路からすぐに入れるようになっていれば経済的であるかもしれないが、奥まっていることで毎日の生活にゆとりを持たせている。また、排水枡がほとんどない。これは住暮楽ならではの施工ではないかと思う。
 住暮楽の家の室内は、全体が一つの部屋と考えられている。部屋の区切りを極力なくした構造で、空気の流れが全体に及ぶように出来ている。その中で「セルロースファイバーの断熱」の効果はとても大きい。

冬暖かく、夏涼しいのである。クーラーは、一階と二階に一台ずつ設置してあるが、これまでほとんど稼働させずに過ごしている。もちろん、暑いのは暑い。温暖化防止のため、電気代節約のため、体の温度調節能力維持のため、扇風機だけは必需品であるが、裏を返せば扇風機でしのぐことができるのだ。
 また、窓にはペアガラスが使用されていて、遮音、断熱に優れている。このことは空間を思った以上に快適にしてくれている。
 建築材料は、自然材料が基本的に使用されていて、人にやさしく安全安心なことが肌で感じられる。不必要な装飾を除き、見栄えの良さに勝って、住む人の快適さを第一とする住暮楽の考え方がベースにあることが感じられる。
 我が家はOMソーラーの家でもある。OMソーラーにして良かったと感じるのは、真冬の明け方でもベッドから出てお手洗いに行く時に素足で寒さが気にならないことである。また、二月の中旬ごろより暖房が要らなくなり、OMソーラーの熱風が一番勢いよく働いていると感じる。
 年月が経つほどに住暮楽の機能の高田さんの設計コンセプトに感謝の思いである。


(すみくらつうしん 2010年9月号より、転載)