K様 |
京都市上京区 ★2016年3月完成 |
---|
私達の住まいづくりが具体的に始まったのは、妻の出身地である京都へ異動して来た、ちょうど2年前のことでした。さあ、いよいよ本当に我が家を持とうと、 それまでいつまで経っても夢だったことが現実として「明確な目標」となりました。前任地の新潟は11年を過ごした思い出多き素晴らしい土地です。 一時は本気で家を建てようと検討した時期がありましたが、最終的な決め手は二人共に故郷から遠く離れていること。 結局決心出来ずに過ぎていました。 その新潟での検討の際に候補と挙げていた幾つかの工務店もやはり木のぬくもり、素材感をモットーとする先。 自分達が建てたい家のイメージはその頃からぼんやりと思い描かれていました。
私は京都での生活にずっと理想を描いていました。家は小さくとも古い街並みの中に住みたいという願望、昔ながらの京町家を古い梁や構造を残して現代的にリノベーションし、 京都ならではのスタイルでシンプルに住みたいという強い憧れがありました。ですので、住まいづくりもまずはリノベーション可能な京町家を探すことから着手しました。 実際に京町家探しのセミナーにも参加し、リノベーションを手掛ける工務店の完成見学会に足を運んだりしました。 しかし希望する場所や物件は候補すら簡単には見つからず、少々諦め気味だった頃に出会ったのが今の我が家の、築年数不明の古い町家の建つ小さな土地でした。 ちょうど同じ頃、新聞チラシの中に見つけたのが住暮楽さんの、左大文字を見上げる高台に建つお家の完成見学会の案内でした。 正直なところ、当初私はそれほど関心を持ちませんでしたが、妻はチラシにピンと来るものを感じたらしく、私は眺望の良さの触れ込みに興味をそそられ拝見しに行くことにしました。 それが住暮楽さんとの最初の出会いです。住まいづくりの具体的な検討を開始してから10ヶ月後、今から約1年前のことです。
見に行くとその開放的な空間にすっかり魅せられてしまいました。無垢の床材や窓枠の木の質感、小上がりのタタミスペースの寛ぎ感、抜けの良い開口の配置。まさに私の理想に近いもので、 住暮楽さんに建ててもらいたいと強く感じました。案内していただいた住暮楽の社員の皆さんも誠実で自分達の家づくりに誇りを持っている姿勢を感じました。 しかし・・・実は帰り掛けに概算コストをお聞きし、やはり予算的に厳しいかなと私自身は諦めの思いで帰路に着いたというのが正直なところです。 全体予算を考えると私の構想から住暮楽さんは外れかけてしまいました。 かなり悩んだ挙句、ついに思い切って町家の建つ土地の購入を決めたのはその直後でした。最初の見学会の後も住暮楽さんへの関心は消えず、別の完成見学会にも足を運ぶことにしました。 今度はリノベーションのお家で、購入した町家への応用を想像できるかと考えたのです。またまたそちらが新築と見まがう素敵な空間で、 その時点で私達に住暮楽さんをパートナーに据えたリノベーションの夢が描かれました。 早速その場で町家の下見を相談したところ、洋介さんは快く引き受けてくれ、後日峠原さんを伴って町家を見に来てくれました。
こからがまた新たな悩みの始まりでした。フルリノベーションともなれば費用は決して安いものではなく、お金を掛けた分だけ快適な生活が保障されるかとの迷い。 また知れば知るほど、最も重視していたことのひとつである、とにかく家族の安全を守る耐震性や、暮らしの快適性を左右する断熱性能に不安が募り、 理想としていた京町家のリノベーション像とのギャップを感じずにはいられませんでした。 当初希望通りリノベーションで行くか、はたまた新築に転ずるか、その後の大いなる葛藤は紙面の関係で割愛しますが、最終的な決め手は洋介さんから言われた、 「住暮楽はお客様の予算に合わせてどんな建て方でも考えます」、「小さな家こそ面白い。小さな空間にこそ神は宿る」との言葉に大いに勇気付けられたことだったと思います。 そして施主の夢や希望に常に寄り添って検討してくれる柔軟な姿勢(実はこれに甘えて随分と仕様決めを遅らせご迷惑をお掛けしたと思います)と、 何より住暮楽さんの感性や波長が私達のそれととても合ったからだと思います。これは住暮楽の社員さんはもちろん、大工さん始め職人さんなど、 住暮楽さんに関わるすべての人々に共通して言えることであり、いつも任せて信頼できることだと思っています。
今工事は大詰めを迎えています。外装の囲いが取れ、私達の現代京町家が姿を現しました。洗面室には洋介さんの計らいで金沢赴任時代の思い出の能登ヒバを張って家族の歴史も盛り込みました。 最近は毎日の進捗がとても楽しみで暇さえあれば見に行っています。森さんに手伝ってもらいながら塗った漆喰DIYも家族全員の良い記念になりました。 まさに住暮楽の住まいづくりならではの家庭的な楽しみだと思います。これまでのすべての出会いや道のりに感謝しつつ、 いよいよこの家で暮らす私達の姿を現実として想像し完成をこころから楽しみにしています。
(すみくらつうしん 2016年3月号より、転載)